社内システムって、便利になるはず。でも、「社内システムって複雑すぎる」と感じている会社の方が今も増えています。
私がシステム開発の仕事を始めた頃から同じ悩みはありましたが、今でもこの悩みを持っておられる会社が増えているのが現実。
では、どうすれば使いやすくなるのか。
- 社内にシステムに関する知識を持った人がいない
- 経営者もシステムのことは良くわからない
- システム担当者は居るが他の仕事で手一杯
こういう状態がほとんどなので、複雑で使いづらいまま、何が原因なのかわからないまま使うことになってしまっている。
そして、時間が経過するにつれ「こんなもんなんだろう」という意識が根付いてしまい、システムが使いにくくなっている原因を特定することが難しくなっていきます。
すると、こんなことが会社全体に浸透してしまいます。
- 使いにくいから出来るだけ使わない方法を編み出す
- 業務効率が下がる
- スタッフさんの士気が低下する
結果、会社経営に必要な判断材料が「不確」「集まらない」ということになり、経営判断そのものが遅れることにつながります。
このブログでは、社内システムが複雑になる原因と、「現場で使えるシステム」を手に入れるための手順をお話します。
なぜ「社内システムが複雑すぎる」と感じる会社が増えているのか
社内システムが導入されても、次のことが続いている会社があります。
- ツール導入は進んでいるのに業務は楽にならない
- Excel・紙・システムが混在する現実
- DXを進めたはずなのに現場が混乱する
なぜが社内システムが現場に定着しない。定着するよりも混乱を招いている、または、不満ばかりが出てくる。このような結果が見えてきて困っているという経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どうして、このようなことになってしまうのかというと、「慣れていないから」だけではありません。
経営層と現場とシステム開発するところ、この三者間での認識が、それぞれの視点だけで固定化されて「社内システム導入」が進んでしまったから。
中小企業の場合ですと、社内に専任のIT担当者が在籍していることは稀です。専任者がいたとしても、普段の社内サポートやトラブル対応で手一杯になっているケースがほとんど。
社内システムと言えども、専門的な視点で「システム開発と導入」に参加していくことは難しいというのが現実ではないでしょうか。
このような事実から、システムが複雑になり「使いづらい」と判断されてしまう原因を考えていきますと、その答えは
- 現場が期待している操作方法
- 現場が期待している動き方
- 経営層が期待している情報の得られ方
これらにズレが発生してしまい、「これくらいできないの?」というストレスや苛立ちが常に起こります。すると、人間というの生き物は「使いたくない」という心理になりますから、どんどんと社内システムを横に置いて、これまで自分達がやり慣れてきた方法へと戻っていくことになります。
本来ですとシステム導入によって
- 工数削減
- リソースの最適化
- 思考時間の獲得
こうした結果へと進んでいくのが目標ですが、実際には全く逆の方向へと進んでしまい
- 目に見えづらいコストの増大
- やる気の低下
- 静かな退職
利益を生み出す業務ではなく、面倒なことを避けていくだけの業務へと変化することにつながっていきます。
社内システムが複雑になる原因①:業務から設計されていないシステム導入
よくある原因がこれです。
- システム導入が目的化している
- 現場業務とのギャップがあるまま
- ベンダー任せの設計
この3つは「なぜ失敗するか」の核心です。
システム開発や導入を相談するとき、「何を作るか」からスタートしてしまう会社が多いです。「システム導入」が目的になっているんです。
- ベンダーは専門家だから言わなくても分かっているだろう
- 社内IT担当者も自社のことだから「業務全体を把握しているはずなので」大丈夫だろう
- 現場への負担を少なくするため、打合せには参加させなくても良いはず
ベンダーは「システム開発」の専門家ですが、あなたの会社の業務のプロではありません。社内IT担当者も自社の事とは言っても、すべての業務と流れを理解していることは稀なケースです。
現場は忙しいので打ち合わせに参加してもらいにくいですが、参加を呼びかけないままというのは「のけ者」にされている印象が強くなるので、システム導入してから関わってもらいづらくなります。
本来のシステム導入とは「どの業務をどう変えたいのか」からスタートすることが正しい視点です。業務の実態を把握しないまま進めるのは、使いにくく複雑になるシステム導入を受け入れていると言っても過言ではありません。
過去に、この話題について書いたブログがありますので、よろしければご覧ください。
『社内システムが複雑すぎる…本当の原因と正しい改善方法【作り直す前にやるべきこと】』
『ITベンダー任せが危険な理由と、任せていい範囲・ダメな範囲』
『ITに詳しくない社長ほどハマる「ベンダー任せ」の落とし穴』
このように過去に何度も、切り口を変えてお話しています。何度もお話しているということは、それだけ重要な事柄だからです。
社内システムが複雑になる原因②:部署ごとの部分最適
既に社内システムが導入されている会社に多いのがこの原因です。
- 営業・経理・現場が別々に改善されて、それぞれのシステムが導入されている
- 全体設計が存在しない
- データが分断される構造
大手企業でも部署単位に「別々のシステム」を導入することはありますが、大手の場合は本社からのパワーが桁違いなので、どんなに部署単位で別々のシステムを導入しても、各部署は本社が指定した「統合システム」へデータを整理整頓して流すようになりますから、本社機能としては問題になりません。
しかし、中小企業の場合は状況が違います。部署別のシステムは、会社全体のデータの流れを疎外します。さらに疎外されたデータは整合性が取れなくなり、経営層はもとより、別の部署で使えないということが発生します。
部分最適化が間違っているわけではありません。部分最適化を実施するときは、全体設計を行った上で進めないと複雑化するということです。
社内システムが複雑になる原因③:業務の標準化がされていない
- 人によってやり方が違う
- システムに合わせられない現場がある
- 例外処理の増加
人の判断が毎回必要になる業務をシステム化することは大変難しいものです。システムとは「標準化」されたことを、毎回同じように繰り返し行うのを得意としています。
ということは、社内の業務が標準化されていないままだと、システムは使いにくいということになります。
こうなる原因の多くは、IT導入前の業務整理にあります。過去に詳しく書いているブログがありますので、ぜひご覧になってください。本当に前準備で大きく変わります。
社内システムが複雑になる原因④:過去のシステムの“積み重ね問題”
- 古いシステムが残り続ける
- 追加・改修の繰り返し
- 誰も全体像を把握できない状態
この原因も中小企業に多いと思います。いつまでも古いシステムが残っているため、二重入力している会社もあると思います。二重入力なら良い方で、3つのシステムに同じことを毎日入力している会社さんもあります。
さらに、古いシステムを手放せない理由から、追加と改修を進め、より複雑化するというのも「あるある」です。こういうケースでの追加と改修は「場当たり的」になりがちなので、後から見ると「なぜこうした?」ということも多々あります。
そして最後は、複雑化した古いシステムと、新しいシステムの混在によって「社内システムの全体像」を誰も把握できていない(社内の人間はもとより、ベンダーも把握できていない)状態になると、Excelなどを担当者レベルで使いはじめ、より複雑化し可視化できない状態へと進んでいきます。
昨今ですと、担当者レベルでAIを使って「自前のアプリ」を作っちゃうということもできるようになりましたから、会社全体で管理する仕組みがなければ、社内には属人化したアプリが溢れかえります。結果、作った本人が異動したり退職すると誰もわからないので、また誰かが同じようなものをAIで作り始めます。で、、、この繰り返しが続きます。
社内システムが複雑になる原因⑤:「現場に合わせた改善」が積み重なっている
- 現場の声を優先した「良かれと思った」個別改善
- 現場が楽だからという理由でOKした「Excel・マクロ・独自ルール」の増加
- 属人化の固定化
考え方は正しい。でも、現場の声に汲み取りすぎて複雑化というのも多いです。今後、AIを使って誰もがアプリやツールを作るようになると、こういう状況は一気に加速します。
現場に合わせて改善は正しいのですが、誰かが「なぜ、そうするのか」を判断する仕組みを持っておく必要があります。
なぜ中小企業ほどシステムが複雑化しやすいのか
理由はこうです。
- IT専任者がいない(いても他の業務で忙しい)
- 判断基準が属人化してしまう
- ベンダーとの関係性依存(任せておけば上手くいくはず)
- 全体設計者不在という構造の問題
全体と第三者、専門的な3つの視点がバランスよく繋がらないと複雑化しやすくなります。
特に初期段階での「全体設計者不在」は、後々の問題につながっていきます。
過去に属人化する傾向を書いていますので、参考にしてみてください。
『Excelファイル、何人で回してますか? ~属人化の現実と対策~』
複雑化した社内システムが引き起こす問題
以下が中小企業で発生しやすい問題です。
- データが合わない(部署ごとに違うとか)
- 原価・利益が見えない(データが合わないので見えない)
- 業務スピードが低下する(信頼できる情報がわからない)
- 引き継ぎ不能な属人化
- 改善できない構造になる
これら5つの問題すべてを抱えておられる会社もあるはずです。冷静に見ると「何のためにシステム導入したのか」わからないですよね。
システムを使わずに、手作業だけで進めた方が良いんじゃないかと思えてしまいます。
本質的な解決策は「ツール選定」ではない
こうした問題を解決するためには「ツール選定と導入」。ではありません。なぜなら、
- 新しいシステム導入では解決しない
- 必要なのは業務構造の整理
- システムの前に決めるべきこと
大切なのは、この3つです。
いくら最新のクラウド対応システムを導入しても、業務構造の整理が出来ていないと、また同じ結果になります。AI対応のシステムを導入しても、AIの判断で動くようになるだけで自社が望んでいる動きになるとは限りません。
こちらのブログに、コンパクトにまとめた内容がありますので、よろしければご覧ください。
『デジタル化の進め方で失敗する会社に共通する5つの判断ミス』
実際に現場で行われる改善アプローチ(簡易事例)
私が実際に行っている改善アプローチは以下の3点です。
- 発注・見積・実績の整理
- データの流れの一本化
- 現場ルールの標準化
建設業や製造業であれば、シンプルな原価管理の再構築も実施します。
とにかく「整理・判断・ルール」を見える化することから始めるのが失敗しにくいです。
さいごに
社内システムの複雑化は「整理と判断とルール化」する人材の不在が原因だと言えます。ですから、
- ツールの問題ではありません
- 業務の積み重ねが原因です
- まず全体像を整理することが重要です
このようにお伝えすることがほとんどです。
社内システムの「上手く使えていない」を放っておくのは、経営判断の遅れにつながります。スタッフの「やる気」にも関わります。さらに言うと、スタッフ同士の人間関係にも影響してきます。
自社だけで解決することが難しい場合は、専門家に相談していくのが解決への近道です。
まずは、現在の状況を社内アンケートなどを実施して得ることからスタートしてみてください。その結果を元にして、正しい判断と整理とルール化が出来るプロに相談し、社内の業務がスムーズの進むようになる(納得できる)改善を進めてください。
