「仕事はきちんとしているのに、なぜか信用されない」
「ホームページから問い合わせは来るが、商談につながらない」
もし少しでも心当たりがあるなら、“メールアドレス”が原因になっているかもしれません。
最近の建築会社では、立派な自社ホームページを持ちながら、連絡先のメールアドレスがフリーメール(Gmail等)やプロバイダーのままというケースをよく見かけます。実はこれ、社長が思っている以上に会社の信用や取引判断に影響しています。
取引先や元請け、設計事務所、法人顧客は、メールアドレスも含めて「この会社は大丈夫か?」を無意識に見ています。現場の腕や実績とは関係なく、入口の印象だけで判断されてしまうことも少なくありません。
とはいえ、
- 今さら変えるのは面倒そうだ
- メールが止まったら現場に影響が出る
そう感じるのも、社長として当然です。そこで今回の話では、
- なぜ独自ドメインがあるのにフリーメールを使い続ける建築会社が多いのか
- 使い続けることで起きやすい“見えないリスク”
- 現場を止めずに、無理なく移行するための注意点
こうした内容を、IT用語を極力使わず、経営と現場の視点で解説します。
「まだ大丈夫」ではなく、「何かあってからでは遅い」のが、メール環境です。数年後に後悔しないために、ぜひ一度立ち止まって読んでみてください。
なぜ独自ドメインがあるのに、別ドメインのメールを使うのか
1.「昔から使っている」
- 創業当初にプロバイダー契約と一緒にメールを使い始めた
- 名刺・取引先・帳票・Web登録先に広く浸透している
- 変更時の連絡・切替作業が面倒/怖い
2.IT担当者がいない
- 独自ドメインメールの設定が難しそう
- 「ホームページとメールは別物」という認識がある
- トラブル時の対応が不安
3.コスト意識
- 「フリーメールは無料」「プロバイダーメールは込み」
- メールにお金をかける価値を感じていない
4.信頼性・安定性への誤解
- 大手プロバイダーやGoogleの方が落ちない(止まらない)
- 自社サーバー=不安定、というイメージ
フリーメール・プロバイダーメールを使い続けるメリット
- 初期費用がほぼ不要
- 設定が簡単
- スマホ・PCで即使える
- サーバー管理が不要
このメリットは、特に個人事業主や創業直後には合理的な選択です。
フリーメール・プロバイダーメールを使い続けるデメリット
1.企業としての信頼性低下
取引を考えている法人や個人から見ると
- なぜ独自ドメインがあるのに使っていない?
- セキュリティ意識が低そう
BtoBでは特にマイナス評価になりやすいと言えます。
2.なりすまし・詐欺対策が弱い
- メール送信元の身元確認を自社名義で管理できない
- フィッシング被害時にブランドを守りにくい
昨今増加傾向にある「なりすまし」。詐欺に使われてしまう可能性が高いです。
3.人の入れ替わりに弱い
- 退職者のメール管理が曖昧になりがち(退職しても削除されていないままとか)
- アカウントの私物化リスク(会社でキチンと管理できていない)
4.拡張性・統制の限界
- メーリングリスト管理が弱い
- 部署別のメールアドレスが作りづらい
- ログ管理・監査対応が困難
5.将来的な「変更コスト」が増大
利用年数が長いほど(長くなるほど)
- 変更=業務リスクが増える
- 社外への影響が大きくなる
将来的な視点で見た「最適な方法」
結論から言いますと、
独自ドメイン × クラウドメールサービス
この組み合わせが最適解です。
この方法のメリットは、
- 企業としての信用力向上
- セキュリティ対策が可能
- 退職・異動時の管理が簡単
- メール以外(カレンダー、共有、管理)も拡張可能
- 月額数百円~で実現可能
無理なく移行するためのポイント
フリーメールを「完全に捨てなくてもよい」現実的な運用
移行に不安がある企業向けの段階的対応は次のとおりです。
- メールアドレス変更についての公式連絡
- 名刺やWebは独自ドメインに変更
- フリーメールは「バックアップ」「個人用」「緊急時用」として活用
- 一定期間はフリーメールから変更先メールへの転送設定を併用
ポイントは「一気に切り替えない」のが成功のコツです。
独自ドメインメールへ移行する際の注意点
1.いきなり切り替えない(最重要)
- ある日突然メールが届かなくなる
- 取引先から「送ったのに返事がない」と言われる
こうした失敗が起こりやすいです。
そのための対策として
- 必ず並行運用期間を設ける(1~3か月)
- 旧メール → 新メールへ自動転送
- 社外向けには段階的に周知
「完全切替日は最後に決める」のがスムーズに進むコツです。
2.新メールサーバーへの切り替えは「お休み」のときに
旧メールから新メールへの切り替えですが、技術的なことで「切り替えた!→すぐに変わる」ということができません。切り変わるまでに短くても数時間は必要。
そのため、切り替えるのは
- 業務がお休みのタイミング(お盆休みや年末年始)
- 夜間
- 週末
こういうタイミングが安心して余裕を持ってできます。
3.迷惑メールにならない設定
技術的なことですが、正しく設定しないと自社から送信したメールが送信元で全部「迷惑メール」になってしまいます。
特に、グーグルやマイクロソフトのドメインを使っている相手さんにメールを送信するときは重要になります(すぐに迷惑メールに振り分けられます)。
以下に、最低限必要な設定について記載しておきます。
- SPF:送信サーバーを宣言
- DKIM:電子署名
- DMARC:なりすまし対策ポリシー
独自ドメインを取得された担当者やホームページ制作会社の担当なら、この内容がわかりますので、最低限の設定を忘れないように念押ししてください。
4.Webフォーム・システム連携の見落とし
- 見積もりサイトからの問い合わせ連絡
- 勤怠、会計などのシステムから通知先
- ワンタイムパスワードの通知先
こうしたことで、メールを使っていることが増えています。旧メールアドレスが使われている部分を棚卸して、新メールアドレスへの変更ミスや漏れ、見落としが発生しないようにしましょう。
5.名刺・署名・Web表記の一斉更新
切替日以降は
- 名刺
- メール署名
- ホームページ
- PDF資料
- 見積り書
のメールアドレスを統一しましょう。
メールアドレスは「企業の顔」です。表記が混在すると信用低下につながります。
6.社員・利用者への事前教育
事前教育を怠ると、発生しやすいトラブル
- ログインできない(メールアドレス変わったからね~)
- スマホで送受信できない(メールアドレス変わったんだよ!)
- 「前のメールに戻したい」(今さら無理です!)
こうならないための対策として
- 簡単な操作マニュアル(1~2枚)を作って渡しておく → 絶対に一度は読むように念押し
- スマホ設定は事前に実施しておく → 絶対に「前日までにやって!」
- 初日は問い合わせ対応者を決める(コレ、重要!)
7.退職者・共有アドレスの整理
コレ、めちゃくちゃ大事です。
移行は「整理のチャンス」です。
- 使われていないアドレスを削除する
- 個人私物化されたメールは削除する(または、無効化)
メールアドレスは、
- 不要アドレスは作らない
- スタッフ共有アドレス(info@ 等)は必ず会社管理にする(私物化させない!)
退職者のメールアドレスは「基本削除」ですが、もし、退職者が残したメールの内容が必要な場合は、パスワードを変更して退職者が使えないようにしておきましょう。
8.フリーメールをすぐ捨てない
旧アドレスは、すぐに削除して捨てないでください。
取引先によっては連絡していても、旧アドレスへ送ってくる人がいます。そのため、旧アドレスは「新アドレスへの転送専用」として置いておくのでもOK。
短くても、半年~1年は旧アドレスを置いておきましょう。
9.バックアップとログの確認
新アドレスへの移行前に、必ず旧アドレスの内容をバックアップしてきましょう。
バックアップしておかないと、
- 過去メールの保全
- 証跡としての保存
が出来なくなるので、取引先やお客様とのやりとりがわからなくなります。
さいごに
旧アドレスから新アドレスへの移行は「技術的な切り替え」よりも「人と業務の切り替え」が難しいです。
メールアドレスの移行は「IT作業」ですが、移行の失敗の原因は
- 連絡不足
- 周知不足
だからこそ余裕のあるスケジュールと段取りで行ってください。5年、10年先を見ると信用に影響しますので、今のうちにやっておくのが安心です。
