ITツールやシステムを導入した直後は特に問題がなかった。
- ベンダーの説明会も終わった
- マニュアルも作って配った
- 社内からは大きなクレームもない
ホッと安心していたタイミングで、こんな変化が起きていることに気づいた。
- どこからも改善提案が出なくなる
- 雑談レベルの愚痴も消える
- 使いにくさが共有されない
最初はあんなに「使えない」「変えてほしい」「前の方がよかったのに」という声が聞こえてきていたのに、今では何も聞こえてこない。これは「うまくいっている」証拠。または「慣れたので上手くいっている」結果。
そう思った瞬間が、一番危ないタイミングです。
経験から申し上げますと「文句が出ない=うまくいっている」とは限りません。
現場が黙るのは「反対しているから」ではありません
現場が黙る理由。それは「不満」ではなく「諦め」。
- 何を言っても変わらない
- どうせ上層部で決まっている
- ITは自分たちのものではない
「沈黙は納得ではなく断絶」ということ、結構あります。
ツール導入時に起きている3つのすれ違い
どうして話が噛み合わなくなるのでしょうか。
1.業務の背景が共有されていない
なぜこの業務がこうなっているのかが無視されている。
自分のやっていることが、後の業務にどういう影響を与えているのかわからないため興味が出ません。結果として「別にどうでもいい」という雰囲気になっていきます。
2.「効率化」の定義が違う
- 経営層:時間短縮
- 現場:ミスが減る/安心できる
見ているところが違いますし、興味のあるところも違います。
3.例外処理が切り捨てられる
現場の「たまに起きる」が軽視される。
軽視されることで例外処理が無くなるなら問題ありませんが、依然として例外処理は残ったままですから、例外処理を担当する人からすると「自分たちの仕事が切り捨てられた」という感覚になりやすいです。
現場が声を上げなくなると、会社で何が起きるか
静かに進行する3つの事柄があります。
- 改善が止まる(改善の話が出なくなるので当然です)
- 属人化が裏側で進む(〇〇さんだけが知っていればOK)
- ツールを使っている“フリ”をする(上が納得するならこれで十分)
「表面上は動いている」ように見えるのですが、実際は使っていないので「中身だけが空洞化」した状態で進んでいます。
黙らなかった会社が最初にやっていたこと
ツールやシステム導入の前に「業務の言語化」をしています。
- 業務をフローで書き出す(業務の流れの見える化)
- 不満ではなく「困りごと」として整理(不満は改善したい気持ちがあるから出てきます)
- システム化しない部分を決める(運用で逃げる方法も大切)
現場が導入に対して自分たちの「意見を言っていい」と感じる状態を先に作っています。
現場の声を“要件”に変える役割がいないことが問題なんです
現場の不満は、そのままではITに変換できません。必要なのは、業務をシステムへ翻訳する人の存在。
- 愚痴 → 業務要件
- 違和感 → 改善ポイント
- 不安 → リスク
これらを翻訳できる人がいないと、いくら言っても通じないので現場は黙るしかなくなります。
さいごに
会社員時代からの経験で言いますと、黙った現場は「もう参加していない」のと同じです。サッカーだと、フィールドに入って立ってボールを見ているだけ。何となくボールの方へ向かって走っているだけ。
だから、IT導入の失敗は、ツールではなく“関係性”で決まると言えます。
- 現場が意見を言える状態か
- 判断のプロセスが共有されているか
- 業務が理解されていると感じられるか
これが崩れた瞬間、ツールは動いても、業務や組織は止まります。
もし、
- 「導入後、現場が静かになった」
- 「改善の話が出なくなった」
と感じているなら、それはツールの失敗ではなく、整理不足のサインです。
私は、
- ツール導入を急がせません
- 現場に無理をさせません
- まず “声が出る状態” を作ります
「うちの会社のことかも?」と思われたなら、遠慮なくご相談ください。
