中小企業様でのシステム導入(この場合のほとんどはIT導入との違いはありません)が進んでいます。
進める目的としては限られたリソースの
- 活用
- 効率化
- 成長
こうした目的のはず。しかし、一方ではシステム導入によって次にお話するような「落とし穴」に陥りがちだという事実があります。
この話は知識や情報ベースではありません。私のこれまでの経験(30年以上のITエンジニアとしての経験)から言える現場で何度も繰り返し見られた事実です。
落とし穴1:目的不明確
- 補助金が使えるから
- 流行っているから(流行っているらしい)
- 知り合いの会社もやったから(コレ、結構多い)
こういう目的不明確な理由でシステム導入を進めてしまうことです。いくらお金を出してシステム導入を進めても「明確な業務課題」が見えていないままだと活用することができません。
進めた場合の問題
導入後に次のような問題が発生します。
- 何に使えばいいのか全くわからない
- 使いたいものではないので現場では使われない
- 導入を進めた部署は「使ってくれない」と悩む(最悪は他部署からの信頼低下)
結果として、こういう経緯で導入されたシステムは「放置」されて無駄なままになります。
回避策
業務上の課題を明確にしましょう。そして、課題解決のためにシステム導入した場合の効果がどれくらい期待できるのか見定めましょう。
落とし穴2:現場との連携不足
誰が主導でシステム導入を進めるのか。ほとんどの場合は、
- 経営者
- 管理部門
しかし、導入されたシステムを使うのは「現場」です。
システム導入を進める人と使う人は別ですから、きちんと連携していないと齟齬が生まれることは誰の目にも明らかです。
進めた場合の問題
現場担当者の意見を聞かず(理解を得られず)にシステム導入を進めると
- 使いにくい
- 手間が増えただけ
現場担当者から予想どおりの意見が出てきて、、、導入失敗。その後は「放置」されたまま。毎月のリース費用やサブスク費用だけ出ていく結果になります。
回避策
現場担当者の意見を聞きましょう。進める側は「どうして必要なのか」を常に考えながら進める必要があります。
落とし穴3:ITベンダーへの丸投げ
「ITはわからないから全部よろしく!」
30年以上前から同じことが続いています。ITベンダーは「ITのプロ」ですが、あなたの会社が行っている「業務のプロ」ではありません。
自社で内容を把握しないまま進めることは可能ですが、そのツケは自社に戻ってきます。
進めた場合の問題
- 自社でどうなっているのかわからない(そもそも知る気がないことが多い)
- 自社の業務に合っていない(伝えてないので当たり前です)
- トラブルが発生しても対応できない(トラブルか仕様か判断できません)
どの問題も発生したら現場は混乱します。比較的早急に解決できないと「やっぱり使えない」ということになり「放置」されます。
回避策
社内担当者を設けましょう。また、経営者が「主体性を持つ」ことも必須事項です。
落とし穴4:安物買いの銭失い
これも30年前から続いています。根強いです。
- とにかく安く
- とにかくもっと安く
- とにかくタダ同然で
費用だけで選ぶ中小企業様、本当に多いです。自分の会社の事業に照らし合わせて考えるとわかるはずですが、現実社会に「はやい、やすい、よい」はありません。
- はやくて、やすい場合は、よくない
- やすくて、よい場合は、はやくない
- よくて、はやい場合は、やすくない
これが正しい考え方です。
進めた場合の問題
- サポートが不十分(当たり前です、サポート人員を割けませんから)
- 機能不足で使えない(当然です、有能なエンジニアを割けません)
- 使えなくて再導入(お金と時間の無駄遣いですね)
回避策
正しい「費用対効果」を重視しましょう。
導入後のサポートや運用コスト。将来の拡張性まで見据えた比較検討が必要です。
落とし穴5:セキュリティ対策が後回し
システム導入に注目しているため「セキュリティ対策」が後回しになるケースが多いです。
セキュリティ、運用ルールの整備を怠ると、大手ビールメーカーのようなことが発生しないとも限りません。中小企業様で、あんなことが発生したら、、、たぶん終わりです。
進めた場合の問題
- 不正アクセスのリスク上昇
- 情報漏洩のリスク上昇
- ランサムウェアのターゲットに
回避策
システム導入と同時に、
- アクセス管理
- バックアップ運用計画
- 利用者へのセキュリティ教育(経営者も含む)
これらを実施しましょう。
特に「経営者」へのセキュリティ教育は必須です。私のセキュリティ教育経験から申し上げるなら、経営者からIDやパスワードを聞き出すことが最も簡単だからです。
さいごに
中小企業様のシステム導入には、30年前から変わらない「落とし穴」があります。これだけの年月が経過しているにも関わらず変化がないということは、、、今後も変わらない企業様が多いのかもしれません。
しかし、あなたの企業が昔から変わらない他の企業に合わせる必要はありません。ぜひ今回の「落とし穴」に注意して進めてもらいたいと思います。
