中小企業様がシステム導入を検討されるとき、次の2つが目的になると思います。
- 業務効率化
- 業務省力化
そして、この2つの目的で真っ先にヤリ玉に上がるのが「ハンコ文化をなくそう」という意見。
さて、本当にハンコ文化をなくすことが、この2つの目的達成に貢献するのかというと、、、そんなことはありません。
お辞儀ハンコってどう思いますか?
偶然ですが、先日ヤフーニュースに「お辞儀ハンコ」に関する記事が出てました。
『ITシステムに「お辞儀ハンコ」実装…日本のDXが進まない根本原因』
記事についての内容は別途ご覧いただくとして、私自身も会社員時代に関わったシステム導入で「お辞儀ハンコ」に対応したことがあります。
お辞儀ハンコに対応するためにシステム導入費用はアップするのですが、お客様である企業様は「ぜひやってほしい」というご要望だったので、現場では「キャッキャッ」言いながら楽しんで実装した経験があります。
ただ、自分自身としては「お辞儀ハンコ」の意味がわからない性格なので、どうしてそんなに費用を払ってまでやるのか全く理解できませんでした。
承認にハンコ押印は必要か?
お辞儀ハンコほど極端なことはないとしても、未だに承認という社内フローの中で「ハンコ押印」という作業がなくなりません。
そして、システム導入を検討すると「ハンコ押印」が最初のヤリ玉になります。そう「ハンコ押印をなくそう」という意見です。
ここで多くのIT企業やITコンサルタントさんは「無駄なのでなくしましょう」という流れになります。でも、少し待ってください。本当に「無駄」なのでしょうか?システム導入の目的達成とハンコ押印廃止は必ず「イコール」なのでしょうか。
システム導入の目的を今一度思い出してください
システム導入する目的は、最初に書いたように次の2つが大きな目的のはずです。
- 業務効率化 → 業務をこれまでよりも滞りなくスムーズに流す
- 業務省力化 → 業務での手間をこれまでよりも減らす
ということは「ハンコを押す」という行動が、企業様の業務フローの中で
- 効率的
- 省力的
なのであれば、ハンコ押印をなくす必要はありません。
また、実際にハンコを押すのではなく、PDFなどでハンコ押印の代わりに「見ましたよサイン」できる方法に変えていくことで、ハンコではないけれど似たような方法で承認処理を進めることもできます。
業務のためのデジタル化・IT化・DX化
気をつけないと知らないうちに「ITのための業務」になってしまっていることが多いと私は昔から感じています。
デジタル化・IT化・DX化というのは本来「業務のため手段」であるのが正解だと私は思います。この意見に批判が多いのは知っていますが、その批判を受け入れてこなせるのは、完全なトップダウン経営&絶対的な知名度を持ち、常に優秀な人材を好きなように選べる資金を持っている大企業くらいです。
いくら外部のIT企業やITコンサルタントさんから見たら「無駄」だと見えても、社内の組織運営上に必要なことは存在します。賢い人達が口を揃えて言われることが多い
- 中小企業は業務の標準化が出来ない
- 中小企業はデジタル化が進まない
ということが中小企業様の本当の課題ではなく、標準化やデジタル化を実施することで現状の組織運営方法よりも優位になるポイントが見当たらないのが中小企業様の課題だと思います。
システム導入の目的=本当の課題を整理
システム導入の目的を達成するためには、「ハンコをなくそう」というような誰もが簡単に思いつくことではなく実際の業務の中で、
- デジタル化
- IT化
- DX化
こうしたことを行うことで、現状の組織運営を上回る可能性がある課題を見つけること。こうして見つけた課題こそ「本当の課題」だと言えますし、本気で着手しようと感じられる課題です。
さいごに
中小企業様の場合、システム導入は業務のための手段として考えてほしいです。目的と手段が入れ替わってはいけません。
しかし、IT企業やコンサルタントさんの多くは有名企業で活動されてきた経験から、大企業向けのアドバイスが多くなりがちです。いくらアドバイス内容が理にかなっていて時代に合っていて良かったとしても、そのアドバイスが自社の組織運営に合っているか、冷静に判断するのが中小企業様にとっては重要です。
