内装業で事業が伸びてくると、多くの会社が同じ壁にぶつかります。
- 案件数が増えて管理が追いつかない
- 原価が見えない
- 発注や見積りが属人化している
そして検討されるのが、「基幹システムやソフトの導入」です。
しかし実際には、
- ソフトを入れたのに使われない
- Excel運用が残る
- 原価管理が結局できない
といった結果になるケースも少なくありません。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。経験から先にお伝えしますと、導入前に知るべき課題と、本当にやるべきことよりも、先に「ソフトの導入」へ意識が進んでしまっているからです。
内装業で基幹システム導入が必要になる理由
まず、なぜ内装業でシステム化が必要になるのかを整理します。
心当たり、ありませんか?
案件・現場ごとの管理が煩雑になる
内装業は案件ごとに条件が異なります。
- 工期
- 依頼内容
- 取引先(個人もあれば法人もある、公共の仕事もあれば、大手からの下請け業務もある)
- 現場条件(取引先が変わると条件も変わります)
そのため、管理が複雑になりやすい構造です。やっている仕事は同じでも、こんなに条件や環境、取引先が変わるのは建設関連業かITシステム開発業くらいなものです。
見積り・発注・原価のつながりが見えない
多くの会社では、
- 見積りは見積り
- 発注は発注
- 原価は会計
こんな風に社内の業務が分断されています。
その結果、「結局いくら利益が出ているのか分からない」という状態になります。
それぞれの業務はこなせているんですが、トータルで見ることが難しいのです。
属人的な管理に限界が来る
事業が小さいうちは、
- 社長
- ベテラン社員
が把握しています。
しかし案件が増えると、「分かる人しか分からない状態」になり、経営リスクになります。
「あの案件って、誰の担当?」という言葉が社内で出始めたら、そろそろ限界に近付いていると感じてください。
内装業でよくある基幹システム導入の失敗パターン
ソフトを入れたのに現場が使わない
操作はできるが、
- 業務に合っていない
- 手間が増える
結果、使われなくなります。
Excelや紙の運用が残る
- 入力はシステム
- 実務はExcel
という二重管理が発生します。
Excelや紙の運用が残っても「残したほうがいい」と判断しているのなら問題ありません。そうではなく、無くそうとしてシステムを入れたのに、結局実務はExcelを使っているとか、紙を使っているとか、そういうのが良くないということです。
原価管理が結局できない
システムはあるが、
- 入力されない
- データが揃わない
結果、使えない状態になります。あるあるです。
追加開発が増え続ける
仮に導入したとしても、
- 現場からの要望
- 例外対応
で機能追加が続き、システムが複雑化します。
なぜソフトを導入しても問題が解決しないのか
多くの会社は、「いいソフトを選べば解決する」と考えがちです。しかし実際には違います。
こればかりは、30年以上の経験から自信を持って言い切れます。絶対に失敗すると言っても良いです。
原因はシステムではなく業務構造にある
問題は、システムやツールではありません。業務の流れ(つながり)がシステムやツールにあっていないからです。
見積り・発注・原価が分断されている
この3つが繋がっていないと、原価は見えません。原価が見えないと利益はわかりません。
当然の結果に行きつきます。
判断基準が整理されていない
業務の流れを例にしますと
- どのタイミングで発注するのか
- どこまでを原価に含めるのか
- 誰が承認するのか
こうした決め事が曖昧なままシステム化すると、システムの中でも混乱がそのまま再現されます。
内装業における基幹システムの本来の役割
ここで一度、前提を整理します。
前提1:データ入力ツールではない
基幹システムは単なる入力画面ではありません。入力だけ出来れば良いのなら、Google Formsで入力用のフォーマットだけ作れば十分です。
前提2:判断を支える仕組みである
これが本来の役割だと意識してください。
- 原価の把握
- 利益の確認
- 意思決定
こうしたことのために使うものです。
前提3:全体の流れをつなぐもの
重要なのは、社内の業務の流れ(つながり)を作ることです。
見積り → 発注 → 原価 → 利益
この流れが繋がって初めて意味を持ちます。
ソフト選びの前に決めるべき3つのこと
ここを決めずに導入すると、必ず失敗します。
① どこまで標準化するか
内装業は完全標準化はできません。
- 現場ごとの差
- 取引先ごとの対応
どこまで揃えるかを決める必要があります。
② どこに例外を残すか
例外は必ず発生します。例外をゼロにすることはできません。ゼロにできる建設関連業は、超大手ゼネコンだけです。
重要なのは、例外を前提に設計することです。
③ どの単位で管理するか
- 現場単位(理想)
- 月単位(良い)
- 部門単位(上場を狙うならベスト)
ここが決まっていないと、どういう数字を扱えば良いのか見えないので使えない状態になります。
【実例】システムを入れずに原価が見えるようになったケース
ある建設系企業の事例です。
状況
- 受注は順調
- しかし原価が見えない
- 利益が読めない
原因は、発注処理の属人化でした。
実施したこと
行ったのはシンプルです。
- 見積り
- 受注
- 発注
この流れを整理し、発注を必ず管理に通す仕組みを作りました。
結果
たったこれだけで、
- 現場単位のコスト
- 外注費
- 資材費
が見えるようになりました。
さらに、見積りと実績を比較することで
- 原価管理
- 粗利管理
- 月別収支
が把握できるようになりました。
ポイント
この改善では、新しいソフトは導入していません。
私がやったのは、業務の整理だけです。
それでもソフトを選ぶ場合のポイント
ここまで整理した上で、初めてソフトを検討します。
自社の業務に合うか
機能ではなく、業務の流れに合うかを見ます。
カスタマイズ前提かどうか
最初からカスタマイズが必要な場合、コストとリスクが上がります。
可能な限り、カスタマイズを少なくする方がコストのリスクが下がります。
運用まで含めて設計できるか
システムやソフトは導入して終わりではありません。
- 誰が入力するか
- どう定着させるか
ここまで考える必要があります。
内装業の基幹システムは「ソフト選び」ではなく「整理」で決まる
内装業の基幹システム導入で重要なのは、
どのソフトを選ぶか ではなく どう整理するか です。
今回の事例のように、
- 発注の流れを整理する
- 見積りと実績をつなぐ
これだけで、経営の見え方は大きく変わります。
システムの前に、整理が必要です
内装業の業務は、
- 属人化しやすく
- 分断されやすく
- 見えにくい
こうした構造になりがちです。
そのため、こうした状態のままソフトを入れても、根本的な問題は解決しません。
私は、
- 業務構造を分解し
- 判断を整理し
- 本当に必要な仕組みだけを残す
支援を行っています。
いきなりシステム導入は行いません。
まずは、「今の状態を整理すること」から始めます。
初回オンライン相談をご用意しております。気になられた方は、遠慮なくご相談ください。
