「そろそろ自分達もBtoCに挑戦したほうがいいのは分かっている。でも、社内に詳しい人材もいないし、ECを立ち上げる余力もない。」
多くの製造業やメーカーの社長さんが口にされる悩みです。
現場は既に人手不足、消費者向けのマーケティングは未経験、ECはまったくの新領域…。そんな状況で新規事業を起こすのは、正直ハードルが高く感じられるはずです。
しかし、今は固定費をほぼ増やさずに、EC専門のプロチームをすぐに立ち上げる方法があります。それが、フリーランス人材を戦略的に活用することです。
今回は私自身の経験をもとに、最小の投資で・最速で・失敗せずにBtoC向けECへ参入するための具体的な手順を紹介します。
- ウチでも本当にできるのか?
- 何から手をつければいいのか?
そんな不安を抱える社長さんにこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。
EC挑戦への不安5つ
EC市場は今も成長過程にあります。BtoCのみでこんな風に成長しています。
- 2020年 19兆2,800億円
- 2021年 20兆6,950億円
- 2022年 22兆7,000億円
- 2023年 24兆8,000億円
- 2024年 26兆1,000億円
出典:経済産業省『令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました』
成長していることがわかっているのに、ほとんどの社長さんが次にお話する5つの不安をお持ちのままです。
1:ECノウハウが不足している不安
- これまでBtoB中心でやってきたため、消費者向けマーケティング・商品ページ作成・SNS運用・顧客対応などの知見が少ない(ほとんどない)
- 社内に専任者もいないため、どこから手を付けるべきかが曖昧なまま
2:初期投資に対するリターンが読めない不安
- ECサイト制作、広告費、倉庫・物流体制の変更、人材確保などで初期費用がかかる
- 「どれくらい売れるのか」「赤字期間がどれくらい続くのか」が見えず、投資判断に迷いがある
3:価格競争に巻き込まれる不安
- 既に市場には大手ブランドや安価な海外製品が存在している(レッドオーシャン)
- ブランド力も直販の実績もない状態でどう差別化すべきかわからない
- 結果的に「値下げ合戦に巻き込まれないか」懸念がある
4:物流・在庫対応への不安
- BtoBとは違い、少量多品種の個人向け発送、返品対応、カスタマーサポートができるのか
- 自前でやるか外部委託するかの判断が難しい
- クレーム処理の負担が増えることも不安
5:社内リソースが不足する不安
- 既存のBtoBビジネスを維持しながら、EC事業を立ち上げる人材・時間が足りない
- 若手が少ない企業だと、デジタルに明るい担当者がいない
- 社内の理解や協力が得られるかという組織面の不安も大きい
5つの不安を解決する方法
ほとんどの健全な会社さんの場合、先ほどの5つの不安は「フリーランス」を活用することで解決できます。
1:ECノウハウ不足の解決
ECノウハウ不足については、EC全体を指揮するディレクターを外部パートナーとして起用しましょう。
解決策
経験のあるフリーランスですと、月10~30万円でECディレクター(コンサル型フリーランス)と顧問契約できます。
ECディレクターの役割
- EC戦略の立案(どのモールに出すか、初期SKU、価格戦略)
- 商品ページ構成案の作成
- 必要なフリーランス(デザイナー、広告運用者)のアサイン
- KPI管理(CVR・CPA・LTVの改善指示)
メリット
新規事業責任者の代わりを低コストで実現できます。
2:初期投資の不安の解決
小さく始めて検証できる体制をつくることで不安を解決できます。
解決策
- 初期投資を最小化した「スモールスタート設計」を依頼
- Shopifyで最低限のテンプレート構築(15~30万円)からスタート
- Amazonで1商品からテスト参入
- 広告は月5万円からスタート(最低限です)
フリーランス活用法
- Shopifyや楽天、メイクショップなどの構築フリーランス
- 楽天やAmazonへの出店支援者
メリット
- 大きく投資せず、3ヶ月~6ヶ月で需要の有無を判断できます
- ダメなら撤退することもできます(損切は早い方が良いです)
3:価格競争への不安の解決
ブランドページや商品ページ制作のプロを起用することで解決できます。
解決策
- 「見せ方で勝つ」EC訴求を専門家に任せる(経験者は知っています)
- 商品の強みを言語化したセールスコピーライティング(セールスコピーライター)
- 比較表やストーリーを入れた商品ページを制作(デザイナー)
- プロ撮影で高品質なビジュアルを作成(フォトグラファー)
フリーランス活用法
- EC特化のクリエイティブデザイナーを起用
- セールスコピーライター(訴求設計)を起用(ただのコピーライターではなくセールスに特化したコピーライターです)
- 写真や動画制作のプロを起用
メリット
ECでは 商品写真と1枚目画像が実物以上の価値を持っています。ここを専門家へ外注すると勝率が大きく上がります。
写真映りの良くない商品は、実物がどれだけ良くても簡単には売れません。
4:物流・在庫管理・顧客対応の不安の解決
EC運用アシスタントを外注することで解決できます。
解決策
少量多品種の出荷や問い合わせを外注化し、社内工数をゼロにしてスタート
フリーランス活用法
- ECバックオフィス代行(受注処理、問い合わせ返信)
- 物流も外部倉庫に委託
メリット
社内の負担を最小化しつつ、品質を担保できます。
販売対象の品目が多いメーカー・製造業さんの場合は、ぜひ検討いただきたい部分です。
5:社内リソース不足の解決
分業型フリーランスチームで補完することが可能です。
解決策
必要な役割を外部プロ人材で分業するチームを作る。
フリーランス活用法
- ECディレクター(週1ミーティングで現状確認と方向性検討)
- デザイナー(商品ページ・バナー作成を依頼)
- 広告運用者(Meta/Googleへの広告運用と状況報告)
- ECアシスタント(受注処理・顧客対応)
メリット
全てを一人で対応できるスーパーマンを社員採用する(または育成する)よりも、低コストでスピーディーに進められます。
まとめてみます
フリーランス活用は「最速」「低リスク」でEC参入を可能にする方法だと言えます。もし、同じノウハウを持っている正社員を採用するなら
- 採用までのコスト(なかなか応募がありません)
- 退職リスク(退職されると誰もわからない)
- 固定費アップ(社会保険の負担もあります)
こういうことを覚悟しておかなくてはいけません。
もしノウハウが乏しい正社員を採用するなら、
- 採用までのコスト(なかなか応募がありません)
- 教育コスト(1年や2年でノウハウは身につきません)
- 退職リスク(退職されると誰もわからない)
- 固定費アップ(一人で出来るようになるまでの負担が大きいかも)
こういう覚悟が必要です。
いっぽう、フリーランスなら
- 専門スキルを即日投入できる
- 必要な時期だけ依頼できる(変動費化)
- 実績で選べる
- 素早く進められる
これはEC立ち上げ時にこそ非常に相性が良いと言えます。もちろん、すでにECを立ち上げて数年運用しているけれど、実績がほとんど出ない(または変わらない)場合も、同じように即戦力としてフリーランスの活用は新しい視点や方法を取り入れることで成功への転換ポイントになりやすいのでおすすめです。
さいごに
まだまだ日本の企業では「フリーランス」を活用する文化が定着していません。高い固定費を払ってでも正社員採用を考えられるケースが多いです。
しかし、今の時代(とくにECに関して)は、スピード感が必要です。素早く動かして改善を繰り返し成功へ向かう。このような動かし方の出来る企業様が最終的には残っていくようになっています。
簡単に見つからないスーパーマンな正社員採用を、いつまでも期待して考えて不安ばかり募らせ、EC参入を後回しにするならフリーランスの活用を検討されることをおすすめします。
