現場の書類やExcel管理でミスや残業が増えていませんか?今回は、中小企業様が最短で現場業務をデジタル化するステップとおすすめツールをご紹介します。
紙・Excel管理の課題とは
紙での管理や、複雑になってしまったExcelでの管理。何とかして「誰でもわかる」ような仕組みへと脱却したい。脱却して生産性をアップさせたい。
しかし、紙や使い勝手が追いついていないExcelでの管理のため、現実には脱却が難しく生産性が下がっているケースをお見受けすることが多々あります。
特に次の5つの課題が経験から多いです。
課題1:情報の分散と属人化
- 例1:現場ごとに違うExcelフォーマットで進捗管理をしている
- 例2:製造指示書が紙ベースで担当者の机の上にしかない
紙やExcelで管理していると、担当者ごとに管理ファイルやフォーマットが異なりやすくなります。すると、データがバラバラになります。
結果として、
- 情報の最新状態がわからない
- 担当者が休むと業務が止まる
「属人化」問題が発生します。
課題2:転記・集計作業によるムダな工数
- 例1:日報を紙で回収 → Excelに打ち込み直す
- 例2:現場ごとにExcelをまとめて管理者が再集計
紙やExcelのデータを転記・集計する手作業が多くなります。すると、現場では「入力よりも報告資料づくりに時間を取られる」状態に。
人手不足の中で、非効率な事務作業が大きな負担になっています。
課題3:データの信頼性が低く、経営判断が遅れる
- 例1:原価集計が1か月遅れでしか出せない
- 例2:見積もりや受注の数字が複数バージョン存在する
Excelではデータの入力ミスや更新漏れが起きやすいです。そして誰もが経験する「どのデータが正しいのか」が分からなくなること。
経営層がリアルタイムで正確な情報を得られず、経営判断が後手に回ります。特に後手に回って困るのは資金繰りに関わる部分ですね。
課題4:外部・内部での情報共有の難しさ
- 例1:最新の図面・工程表が共有されず、現場で古い資料を使用
- 例2:メール添付したExcelのバージョンが混在
紙やExcelは社内外の関係者と共有しづらいです。メールへの添付や印刷が中心になってしまうため、最新版の共有に手間がかかります。というか、わからなくなります。
建設・製造業では協力会社さんや現場との連携が多いため、情報伝達ロスが発生します。すると現場では「言った、言ってない」「伝えた、聞いてない」が発生して困ったことになります。
課題5:データ活用・改善が進まない
- 例1:不良発生率や稼働率の分析が手作業
- 例2:過去の案件データを再利用できない
紙・Excelでは蓄積データを分析しづらいです。そのため「改善のためのデータ活用」が進みません。
現場の「感覚に頼った」経営や改善活動から脱却できず、生産性向上の取り組みが遅れます。
現場業務をデジタル化するメリット
よくあるケースを例にしてメリットをお話します。
日報集計
紙・Excel(Before)→週1回2時間~3時間
デジタル化(After)→自動集計で0分~10分ほど
原価把握
紙・Excel(Before)→早くても月次締め後
デジタル化(After)→ほぼリアルタイム
図面・工程共有
紙・Excel(Before)→メールまたは印刷
デジタル化(After)→クラウドリンクで共通すれば即対応可能
管理者の残業
紙・Excel(Before)→毎日1時間~2時間
デジタル化(After)→ほぼゼロ
経営判断
紙・Excel(Before)→感覚での判断
デジタル化(After)→データに裏付けられた判断
多くの建設業様や製造業様の現場力は非常に高いです。ただ、紙とExcelに頼った管理が続いていることで、その力を十分に発揮できない原因になっているところが多いのも事実です。
ヒビノシステムでは“現場が楽になるIT導入”を一緒に設計し、御社の強みをそのままに、生産性を底上げするお手伝いをします。
最短ステップで始めるデジタル化
導入時の注意ポイント
デジタル化を進める上での注意点があります。
ポイント1:いきなり全部変えない
現場が最も困っている業務(例:日報・工程管理)から小さく始める。
ポイント2:Excel文化を尊重する
いきなりExcelを全部廃止せず、Excelを自動集計やクラウド連携に活かす。
ポイント3:現場が「楽になる」仕組みにする
入力負担を増やす仕組みは必ず失敗します。というのも、面倒なので誰も入力しないからです。
スマホや音声入力、QRなどの活用を考えましょう。
ポイント4:経営層が「数字が見える」喜びを体感する
原価率や稼働率、案件進捗をリアルタイムで可視化することで効果実感できます。
最短5ステップ
ステップ1:現場入力のデジタル化
スマホやタブレットから日報や進捗を入力できるように。
紙日報からアプリ入力へ変化させることで、転記作業の削減や入力スピードが向上します。
ステップ2:データのクラウド共有
工程や原価、在庫などを共有スペースで一元管理。
Excelからクラウド台帳へ変化させることで、情報のリアルタイム共有が可能になります。
ステップ3:自動集計・レポート化
集計や分析、レポートを作成してくれるツールやダッシュボードで自動可視化。
原価や進捗、稼働率の見える化で、管理者の集計工数削減が期待できます。
ステップ4:外部連携・協力会社共有
見積や工程を共有プラットフォーム化することで共有が簡単に。
メール添付のやりとりから、共有リンクでのやりとりに変わると、情報伝達ミスも削減できます。
ステップ5:継続的改善
現場データを活かして改善提案ができるように。
感覚での判断からデータでの判断による改善ができますので、生産性や利益率向上に向けた施策に役立たせることができます。
おすすめツールと導入のヒント
建設業向け
現場日報や工程管理、写真共有:ANDPAD
製造業向け
生産実績や原価管理、在庫管理:kintone、スマートDB
情報共通基盤
Google Workplace、Microsoft 365、Power BI
さいごに
現場業務のデジタル化というと、大きなシステム導入や業務をいきなり大きく変化させるようことを考えてしまう企業様が多いです。
しかし、そういう「大きな変化」に耐えながら業務を無理やりにでも進められるのは「大手企業」くらいです。
自分達に合っていない方法を選ぶのは止めましょう。デジタル化は、どこか他の会社や経営者に自慢するためのものではありません。現場から経営判断まで、スムーズに進めながら生産性を向上しつつ、人材不足の時代を上手に乗り切る「あなたの会社だけに適した方法」でよいのです。
