現場での手作業や紙管理に疲れていませんか?建設業は従来の業務フローのままでは生産性が上がらず、ミスも増えます。この記事では、中小建設業でも無理なく始められるIT化の3つのステップをご紹介します。

なぜ今、建設業でIT化が必要なのか

世間では「DX化」の波がやってきています。そのためいきなりDX化を進められるところもありますが、私が建設業様におすすめするのは、「まずはIT化」から。というのも

  • 人手不足
  • 36協定
  • 労働生産性向上

建設業様も昭和の頃の考え方や働き方では対応できない。そんな時代に入っているから。情報の共有や連携、社内でのやりとりから取引先とのやりとりまで、昭和の頃とは大きく変化しています。

こうした大きな変化へ対応するためにはIT化が必須です。特に外へ出てお仕事をされる建設業様の場合、現場と事務所との距離が物理的にありますのでIT化せずに進めると、情報共有や連絡が属人化することになります。

すると営業と監理で行き違いが出てくるとか、現場作業で資材が足りないとか、完工しているのに請求できていないとか、、、いろいろなところに支障が出てきます。

大きな現場に複数人が出向ている場合であれば、締めのタイミングで「出面」の作成に時間を取られていることもあると思います。

こうした「行き違い」「間違い」「未請求」「時間のかかる事務所作業」などを効率的に進めるためには、IT化を進めることが重要なポイントになってきます。

IT化で改善できる3つの業務

建設業様がIT化で改善できる(改善しやすい)3つの業務をご提案します。

現場報告・日報のデジタル化

現場報告や日報は工事の進捗状況やスタッフの勤務状況の把握に使われます。そして多くの場合、これらの情報は「請求」に関わってきます。

そのため「ヌケ」「忘れ」があってはいけませんし、「間違い」があってもいけません。

IT化を進めることで、まず「人の手による転記」という作業がなくなります。すると「記入漏れ」「記入間違い」がなくなります。これだけでも業務の精度が改善します。

さらに、パソコンやスマートフォンを使って現場から報告してもらえる仕組みを導入すれば、事務所でまとめる手間もなくなります。

毎月現場の締めの間近になったら、事務所からスタッフへ電話して確認とか、、、イヤなことをしなくて済みます。

工程・進捗管理の可視化

こちらもパソコンやスマートフォンを使って管理する仕組みを導入することで、誰もが状況を見ることができます。

「〇〇さんでないとわからない」こういうことがなくなります。仮に工程・進捗を管理するツールへ入力していない場合は、担当者の問題であることが明確ですから、上司または経営者からピンポイントで確認または指導することが可能になります。

在庫・発注管理の自動化

資材の在庫と発注こそIT化するべきところだと思います。というのも、資材の購入は「原価」に当たりますので経営的には「利益」に影響してきます。

また、仕事が忙しくなると会社に在庫があるにも関わらず、会社へ戻るのが面倒という理由から、現場近くのホームセンターで「在庫があるのに購入」ということも発生します。

ひとつずつは小さな値段でも、あちこちで同じことが起こるとそれなりに負担増です。

  • どこの現場のために
  • 誰が
  • いつ
  • 何を
  • 何個

発注し在庫になっているのか。または現場で使ったのか。業種の特色上、完全に合わせることは難しいかもしれませんが、「あるのかないのか」「注文しないといけないのか」は誰もがわかるようにしておくことが今後の経営に影響してきます。

また、この管理に関しては「資材」「機材」だけではなく「外注」に関しても同じことが言えます。

IT化を成功させる3つのポイント

中小規模の建設業様では「費用」「人手」「デジタル人材の不足」が課題になるため、小さく始めて確実に定着させる戦略が鍵になります。

現場業務の”困りごと”から始める

小さく始めて成果を出す。これがおすすめです。

例えば、

  • どの業務をデジタル化すれば一番助かるかを考える
  • 無理に全社導入せず、「現場の手間が減る」領域から始める
  • 最も手間がかかる業務を一つ選ぶ

シンプルなクラウド連携で「情報の一元化」

まずは各現場、社員、可能なら協力会社が同じ情報を見られる環境を整えましょう。

  • 誰がどの資料を持っているか分からない
  • メールやLINEが散らばる

こうした状態の解消を目指します。成功のコツとしては、

  • 社員全員が同じフォルダ構成、ファイル名付与のルールを守る
  • 紙やFAX文化を少しずつ減らしていく(並行運用期間を設ける)
  • クラウド=共同作業の場所という意識づけを進める

建設業の場合、紙やFAXがゼロになることは無いと思いますので、「減らす」という意識が必要です。

IT化を会社の”戦略”とする

経営トップが「ITはコスト削減ではなく、生き残り戦略」と明確に打ち出しましょう。経営者が旗振り役を担うことがカギです。

  • 社員の「面倒くさい」「難しそう」という抵抗感を減らし、前向きな文化をつくる
  • 経営者が「IT導入の目的」を明確に発信する(現場の残業を減らしたいとか)
  • 成功事例を社内で共有し、「使えば楽になる」という意識を広げる

経営トップが「面倒」「難しそう」「やる意味あるの?」という状態では、会社の中にIT化は浸透しません。会社のIT化は「自分事である」という考え方を持って進めてください。

さいごに

  • 人材不足
  • 資材高騰
  • 外注費高騰
  • 工期の長期化

建設業様にとっては労働生産性向上を意識しなければ「仕事は多いけど儲からない」状態になりやすい時代です。

ぜひ、IT化を進めることで業務効率化と共に労働生産性向上を目指し、「仕事の分以上に儲かる」会社になってください。