これまで外部の人に業務を任せたことがあまりない企業様が、できるだけスムーズにスピード感をもって「デジタル・IT・DX化」を進めたい場合、どうしても
- IT人材(デジタル人材やDX人材)を雇用したい
- ITに詳しい人をパートやアルバイトで雇いたい
だいたいこの2つの選択肢を一番に考えられるはず(どちらも自社で雇用したい)。
しかし、実際に求人をしてみても、、、応募はありません。仮に応募があったとしても、
- 履歴書の内容と乖離している人だった
- 人柄が合わなかった
- 給与面で合わなかった(福利厚生で合わない場合も)
こういう結果になってしまうこと、ホントに多いと思います。では、どうすればスムーズにスピード感をもって進められるのかというと、次のどれかだと思います。
スムーズにスピード感をもって進める3つの方法
簡潔にお話します。次の3つのうちのどれかです。
- 派遣会社に依頼して条件に合った人に来てもらう
- 地元IT関連会社へ依頼して業務請負の契約をする
- フリーランスへ依頼して業務請負の契約をする
派遣会社へ依頼する
契約は簡単です。派遣会社と契約して、毎月派遣会社へ支払するだけです。
ここでのポイントは、条件に合った人が見つかるかどうか。それと「いくらなのか」です。派遣会社の費用には、
- 派遣されてくる人の賃金(社会保険なども含めて)
- 派遣会社の営業費用(広告費や事務所の費用など)
- 派遣会社が雇用しているスタッフの経費(給与や光熱費など)
- 派遣会社の利益
これだけが含まれています。そのため、想定よりも高いことが多いです。もし、想定よりも安い提示があった場合は危険です。
- 使えない人がやってくる(けれど、すぐに解約できない)
- 数で勝負してくる(初心者が2~3人まとまってやってくる)
技術系の派遣に関して申し上げるなら「安い=良い」は成立しません。
また、派遣の場合は「派遣法」がありますので、業務の指示命令系統に注意が必要です。
IT関連会社へ依頼する
業務請負ですから、派遣以上に業務の指示命令系統に注意が必要です。請負内容に含まれていないことを「ついで」だからと勝手に指示してはいけません。
費用面でも、IT関連会社が業務請負で契約した場合、月1人の費用が50万円未満になることはレアケースです。
仮に技術者の給与が40万円だったとして、IT関連会社にも事務所費用や営業費用が必要ですし、人を外部へ出しているので利益を取らないといけません。ということは、派遣とさほど変わらない費用負担を覚悟しておく必要があります。
ちなみに中堅IT関連会社の技術系エンジニアの想定日額は約7万円~10万円です。ということは、
20営業日 × 7万円 = 140万円/人月
これくらいの見積がきても不思議ではないということです。
フリーランスへ依頼する
外部の人に業務を依頼するのは気が進まない。わかります。しかし、次の点に注意してもらえると、フリーランスは即戦力になります。
注意しておきたい5つのポイント
- 信頼性・継続性
- 契約・法律面
- 社内文化・固定概念
- 情報漏洩(セキュリティ)
- 業務管理とコミュニケーション
信頼性・継続性
- 急に連絡が取れなくなる
- 途中で放り出していなくなる
こういう不安、あると思います。
そこで、フリーランスのこれまでの仕事の仕方を知っておきましょう。同じ会社さんと長く(1年以上)継続して取引されているフリーランスなら安心できます。
契約・法律面
雇用契約ではなく「業務委託契約」になります。
法的な部分や契約書に関して、経験のあるフリーランスなら知っていますから聞いてみてください。反対に経験の浅い、または、こういうことを気にしていないフリーランスの場合、的確な回答ができません。
信頼できるフリーランスかどうかを見極めるひとつのポイントになります。
社内文化・固定概念
- 外部の人間に業務を任せるなんてダメ
- 外部の人間に頼むなんてカッコ悪い
- 社員が何とかするべきだ
社風なので、なかなか変化しません。また、
- 外注は高い
- 外部に頼るのは負け
- 騙される
こういう意見が根強い企業さんもあります。仕方ありません。社風ですから。
しかし、私のまわりを見ていると、このような今となっては「古い価値観」を乗り越えて柔軟に外部の人材を活用されている企業さんの方が売上が伸びています。
どうしても社内文化や固定概念を変えることができない場合は、仕方ありませんのでフリーランスへの依頼は諦めましょう。その方がお互いに幸せです。
情報漏洩(セキュリティ)
機密保持契約書を交わせるか確認してください。
また、フリーランスが作業を行う場所も聞いておきましょう。
- 自宅の個室オフィス環境で仕事をしている
- VPNを使って契約しているサーバーで仕事をしている
- クラウドシステムを契約して使っている
情報漏洩やセキュリティに気を使っているフリーランスなら、何らかの手立てを考えています。反面、こうした回答が曖昧なフリーランスは危険です。
業務管理とコミュニケーション
フリーランスの大半は、基本「リモートワーク」です。そのため、
- 本当に仕事をしているのか不安
- 進捗具合がわからない
- 意思疎通が難しい
- 気軽に声をかけられない
こういう印象が強いようです。
経験のあるフリーランスですと、それぞれ進捗報告の方法や頻度を心得ています。また、リモートワークでの意思疎通の難しさも理解していますから、代替えの方法や提案があります。
またコミュニケーションに関しては、フリーランスの「人柄」が強く関わってきますので、話してみて安心できるフリーランスを選ばれるのがストレスなく進められるポイントになります。
フリーランスや副業希望の人へ依頼するときの注意事項
フリーランスや副業希望の人へ依頼するとき、実務を考えると次の点にも注意しておくことが大切です。
- 知識だけではなく実際に経験があるか(知っていると出来るは別ものです)
- とにかくITツールを導入しようとしていないか(ツールが必要ない場合もあります)
- 業務に興味を持っているか
- 他業種についても知っているか(代替え案は他業種から出てきます)
- モノの流れとお金の流れの違いを理解しているか
- デジタル化やIT化、DX化のゴールの中で「利益」を意識しているか
例えば、これは私が過去に実体験したことですが、コンサルタントとデータアナリストを自称する方が中小企業さんの業務効率化案件に登場されたことがあります。
この方とお話をしていく中で頻繁に出てくるのが、
- データがあれば何とかなります
- データの流れをメインに考えて業務を進めれば上手くいきます
- データ分析することでマーケティングに役立ちます
という意見。確かにどの意見も大企業に向けたコンサルティングやデータ分析の提案なら「正解」です。しかし、実際に効率化したい中小企業さんの視点で考えると、
- データがあればと言われてもデータがない
- データの流れ(理論)で業務は流れない(イレギュラーが多い)
- 分析できるだけのデータが整然と揃っていない
という状況がほとんどですから、何となく流行りのカッコイイ言葉や難しい仕組みの話を聞いて「おぉ~凄そう」と感心して納得して依頼してしまうと、自社に合わない提案に振り回されることになりかねません。
さらに、こうした提案がメインで出てくるケースでは「提案」「課題の発見」を重視されていることが多いため、提案を進める「実行力」や課題を解決する「技術」は「企業さんで何とか頑張ってください」ということになるケースがほとんど。
でも、企業さんにそうした人材や余力はありませんので解決できず、、、結局は時間とお金を使っただけで何も変わらなかったという、大変残念な結果になります。
さいごに
まだまだ自社の業務の一部を外部へ出す。ということに踏み出せない企業様は多いです。
しかし、今後本格化する「IT人材不足」を考えるのなら、今のうちに信頼できて業務を理解していて適切な提案と技術提供ができるフリーランスと契約を結び、長い付き合いをスタートされる方が、変化の早いデジタル関係の対応では何かと良い結果になると私は思います。
