部署単位や拠点単位でITシステムが導入されている。これからは会社全体で情報を共有して活用するために「DX推進」を検討している。
このように考えておられる企業様が増えています。しかし、残念なことにDX推進が思うように進まず頓挫してしまう。そういう企業様も多いとお聞きしています。
今回は「DX推進」のカギとなるお話です。
避けている会社さん多いです
DXを推進しようという会社さんの場合、すでに会社のどこかにはITシステムが導入されています。それも1つだけではなく、2つ、3つと導入されているはず。
これら導入されているITシステム全部が、有名ベンダーさんのパッケージソフトなら、あまり悩むこともなくDX推進は意外とスムースに進みます。
しかし、、、大抵はITシステムの中の1つや2つは、
- ベンダーさんに依頼してカスタマイズされたシステム
- 社内の誰かが作ったシステム
- 3年前に退職した〇〇さんが作ったまま動いているシステム
- 完全オリジナルのシステム(サポート契約が終わってる)
こういうの、混ざっていると思います。
で、こういう存在を避けままの状態で何とかDX推進しようとされるのですが、残念ながら頓挫の原因になります。
DX推進のカギ
カギは非常に簡単です。既存ITシステムを見える化することです。DX推進への熱い想いや強いキーワードを選んだ演説は時に「カギ」らしき効果を発揮しますが、それは一時的な現象です。
見える化する必要があるのは、「今も使っているITシステム」です。
先ほどの、
- ベンダーさんに依頼してカスタマイズされたシステム
- 社内の誰かが作ったシステム
- 退職した〇〇さんが作ったまま動いているシステム
- 完全オリジナルのシステム(サポート契約が終わってる)
こういうのは、必ず見える化する必要があります。さらに、
- 営業担当やアシスタントが自前で作って使っているExcelマクロ
- 製造担当が自前で作っている作業進捗Excelブック
- 経理担当が使っている集計用マクロ
他にも会社の中には、様々な「自前で作った」小さな機能を備えているITシステムが存在しているはず。これらも洗い出して、
- 誰が(どの部署や職種で)
- いつ(どんなタイミングで)
- どこで
- なにのために
- どのような情報を元にして
- 何をしているのか
こういう細かなことを「見える化」しなくてはいけません。
見える化で失敗が減る
社内で動いているITシステムを見える化することで、DX推進で起こりやすい失敗を減らすことができます。
なぜなら、
- 以前は使えていたのに今度は使えなくなった
- 以前と同じ情報が出てこないので作業が増えて面倒になった
こういう「よくあるトラブル」が減ります。
さらに、これまで避けられていたITシステムのブラックボックス部分が明らかになりますから、DX推進で必須となる業務の流れを見直すこともできます。
完全にブラックボックス化しているものをどうするか
社内のITシステムの中には、誰に聞いてもわからない。でも、毎日使っていて動いている。こういう大変危険な状態の(絶妙なバランスで動いている)ものが存在します。
こういった既存ITシステムが社内に存在している場合、次の3つの方法を検討しなくてはいけません。
- 廃止できないか(廃止すると業務にどんな影響が出るのか)
- 完全に作り直すことはできないか(最低でも何となく全体の動きを理解している人が在籍している必要があります)
- 業務フローを変更して、新しい仕組みで代替えできないか(これがおすすめ)
見える化で大切なこと
社内のITシステムを見える化するとき、大切なことを忘れないでください。それは、
「何をしているのか」だけではなく「何のためにやっているのか」
ということです。
ITシステムの見える化作業は、どうしても分析と解析という視点で進めがちです。しかし、いくら分析と解析を続けて「何をしているのか」を理解できても、現場で「何のためにやっているのか」が理解できないと、業務の中で必要な細かな部分が欠落したまま「見える化」を進めることになります。
社内のITシステムが「業務」で使われている以上、業務で何のためにやっているのかを理解できないと、本当に意味のあるものを準備することはできません。
さいごに
DX推進のカギは既存ITシステムの見える化だと私は思っています。
ここから確実に進めていくことで時間はかかってしまうかもしれませんが、社内業務にフィットした「使える」DXが手に入ると思います。
いくら高価で有名ベンダーが勧めてくるシステムや仕組みを導入しても、業務で使えない(使いづらい)のなら「絵に描いた餅」です。