DX化を検討される会社さんが増えています。しかし、なかなか進まない。こういう現実があります。
なぜ進まないのかというと、もっとも大切なスタート部分である「デジタル化」が終わってないことが多いから。
まずはデジタル化のメリットとデメリットを理解し、業務をスマートにデジタル化するところから始めましょう。
デジタル化のメリット
情報(データ)が劣化しない
例えば、FAXの紙を保存しておくと、そのうち見えなくなります。一般的にアナログの情報(データ)は、時間と共に劣化します。
いっぽう、デジタル化された情報(データ)は、劣化することがありません。
保存する場所が少なくてOK
紙の書類を保管するには場所が必要です。デジタル化された書類はクラウドやUSBなどに保存できますので、紙よりも保管スペースが小さくて済みます。
何度でも使い回せる
デジタル化されたものは、何度でもコピーできます。編集や加工もできます。デジタルデータは、何度でも効果的に使い回すことができます。
検索が楽になる
デジタルデータは検索性能が高いです。キーワードを使うことで目的のものを比較的簡単に探せます。
共有しやすい
インターネットを使ってメールやチャットで簡単に共有できます。今ならスマートフォンで外出先から必要な書類を見ることもできます。
バックアップと復元ができる
定期的にバックアップすれば、万が一データが消失しても復旧できる可能性が高くなります。
自然災害が発生した場合でもバックアップを適切な方法で保管していれば、別の場所にハードウェアを調達し、バックアップを使って復旧(リストアと言います)すれば、短期間で企業活動を再開することができます。
業務の自動化で活用しやすい
デジタルデータは、他のITツールを使うことで自動的に処理を進めやすくなります(決まった条件で毎日集計するとか)。
また、最近成長が著しい「生成AI」の学習データとしても活用できます。
デジタル化のデメリット
デジタル化は良いことが多いと思いますが、少なからずデメリットもあります。このデメリットをしっかりと理解しておいてください。デメリットが自社で「どうがんばっても解決できない」のなら、デジタル化の先にある「DX化」の実現は難しい目標になります。
データ消失
デジタル情報は、外的要因(ウィルス感染、操作ミスなど)やハードウェアの故障などによって「消えてしまう」可能性があります。
定期的なバックアップを行っていれば、バックアップ時点まで復旧できる可能性もありますが、バックアップが古すぎたり無かったりすると「終了のお知らせ」となります。
私は現場経験が長いので知識や話ではなくカラダで知っていますが、バックアップをすることは本当に大切です。
- バックアップをサボっていた
- バックアップ媒体をケチって用意していなかった
- 勝手にバックアップの頻度を「年に一回」にしていた
こういう会社さん、過去にありました。そして不思議なことに、こういう会社さんに限ってハードウェアトラブルが発生し、今では使えないような古い古いバックアップしかなくて「泣くしかない」という状態になっておられました。
情報漏洩のリスク
ネットワークを経由して使えるデジタル情報は、不正アクセスなどによって漏洩するリスクが増えてしまいます。
個人情報や機密情報を扱う場合は「社内と社外での扱い方」を注意することはもちろん、常に漏洩リスクを考えておく必要があります。
2025年8月13日現在ですと「駿河屋.JP」で発生した個人情報とクレジットカード情報の漏洩ニュースがあります。
デジタルデータにおいては、「絶対に情報が漏洩しない」という仕組みや確証はありません。
法律と規制
業種や業界によっては「デジタルデータの使用」はNGというケースがあります。例えば「証拠」として扱えないとか。申請書類として扱えないとか。
自分達の業種や業界での「デジタルデータ」に関するルールをしっかり確認しておきましょう。
初期コストがかかる
アナログ情報をデジタル情報へ変換していきますので、初期コストがかかります。
初期コストとして考えられるのは、
- 変換するために必要なハードウェア
- 変換するために必要なソフトウェア
- 変換を行う人材
残念ながら「タダ」では出来ないということです。
運用と維持のコスト
忘れがちなデメリットです。
- デジタル情報を保存しておく記憶媒体(クラウドなど)の利用料金
- 保存したデジタルデータを管理するためのソフトウェア更新費用
- セキュリティ対策費用
- 人材を維持する費用
運用と維持のコストは「長期的コスト」になります。初期コストだけでは終わりませんので、忘れずに検討するときは入れておきましょう。
デジタル化の進め方
目的
何のためにデジタル化するのかハッキリさせましょう。会社の場合、次のような目的が多いのではないでしょうか。
- 劣化させずに長期保存したい
- 遠地や外部と簡単に共有したい
- 編集や加工をして使いまわしたい
- 自動化を進めて業務の効率化を進めたい
実際は会社によって様々ですが(様々で良い)、目的をハッキリさせておくことが重要です。
何からデジタル化するのか
アナログからデジタルにしたいことを洗い出しましょう。
そして洗い出したことに優先順位をつけます。できるだけ「簡単に出来そうなこと」を選んでください。成功体験が重要です。
ツールを選ぶ
デジタル化するために必要なツールを選びます。
この辺りから専門的な知見が必要になってきますので、外部の専門家に相談しながら検討していくのがおすすめです。
社内ルールを決める
- デジタル化の手順
- 保存先
- バックアップ
- アクセス権限
- セキュリティ対策
今後、新しいアナログ情報が出てきた場合の扱い方も検討しておきましょう。
デジタル化をスタート
まずは、社内で決めたルールに沿ってデジタル化していきましょう。
データの整理
デジタル化したデータは、そのままでは活用しづらいことがあります。こういう場合、デジタルデータを加工して、後続の処理で使いやすいようにします。
ここも専門的な知見が必要になってきますし、場合によっては加工するための仕組みを作る必要がありますので、外部の専門家を交えて相談していただきたいです。
スマートに進めるポイント
- 小さな業務からスタートしましょう
- 大量のデータがある場合は外部に依頼しましょう
- 社内スタッフでは人手が足りない場合も外部へ依頼しましょう
「人手が足りないからやめておく」というのは、企業活動を続ける上で大変「もったいない」状態です。
さいごに
DX化の前にデジタル化。これが成功への第一歩です。デジタル化はデメリットもありますが、1年2年と継続していくとメリットの方が多いことに気づいてもらえるはず。
デジタル化する対象が少ないときこそ、DX化を目標にしてスタートするタイミングです。